『パトリオット・デイ』:事件直後から捜査過程がつぶさに分かるリアリティはなかなか。昨今のこの手の作品では描写がすごく力強い!

パトリオット・デイ

「パトリオット・デイ」を観ました。

評価:★★★★

2013年4月15日、ボストン。殺人課の刑事トミーは容疑者の過剰取締の疑いで、本来の業務外であるボストンマラソンの警備に駆り出されていた。オリンピックの次に歴史が古いとされている伝統的なイベントは、アメリカの「愛国者の日(パトリオット・デイ)」の祝日に開催されており、このときもランナーも含め、50万人の観衆で賑わっていた。そのゴール付近で大会開催中を狙い、実行された爆弾テロ。次々にゴールをしていく市民ランナーとそれを迎える観衆を狙い、多くの死傷者を出す大惨事となる。事件直前から、犯人逮捕までの緊迫の102時間を映し出す。「ローン・サバイバー」、「バーニング・オーシャン」でタッグを組んだマーク・ウォールバーグ&ピーター・バーグ監督による、2013年に起きたボストンマラソン大会テロ事件をベースにした実録ドラマ。

マーク・ウォルバーグ主演ということと、事件があった一日(正確には102時間ですけど、、)を描いていくということから近作である「バーニング・オーシャン」を思い出してしまいますが、何と主演・監督とも同じメンバーでの作品でした(笑)。それでも「バーニング〜」は人災による海洋事故なのに対し、こちらはテロ事件という内容に違いがあります。好き嫌いは別れるかもしれませんが、僕は迫力の割に、事故シーンが一瞬で過ぎていく「バーニング〜」と違って、序盤早々にテロ事件が発生し、緊迫感の中、犯人を徐々に追い詰めていく本作のほうが力感あふれる描写に映りました。アメリカで起こったテロ事件だけあって、やはり事件そのものは知っていても、詳細は知らなかった日本人にとって、当時のあの現場では何があって、事件の背後にはないがあって、犯人はどういう風に追い詰められていったのかというのが、劇映画というフィルターは通しながらもリアルに伝わってきます。特に、一瞬の爆破事故の記憶から防犯カメラの映像から、犯人の痕跡を辿っていくシーンは秀逸。リアリティあるドラマ演出も光ると思います。

こうした捜査過程もそうですが、僕が特に驚いたのは映画終盤の銃撃シーン。犯人確保が意外とスッキリすると思いきや、アクション映画ビックリの銃撃が行われていた(まぁ、映画的な演出もあるのかもしれないですが)というのが少々驚きでした。ここは「バーニング〜」でも火災アクションを魅せたピータ・バーグの腕が光るところだったと思います。「バーニング〜」で期待するほどの力強さを感じられなかった僕みたいな人には、オススメな肉厚作品です。

次回レビュー予定は、「22年目の告白 私が殺人犯です」です。

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