『T2 トレインスポッティング』:くたびれた人生引きずりオジサンの復活劇。前作を観てないと分からない内輪劇になっているのが少々残念。。

T2 トレインスポッティング

「T2 トレインスポッティング」を観ました。

評価:★★☆

スコットランドのエディンバラ。マーク・レントンがこの地から大金を持ち逃げしてから20年。エディンバラに戻って来たレントンは、かつての仲間であるスパッドやシック・ボーイ、ベグビーらと再会する。スパッドは家族に見放され、孤独に絶望しながらも何とか生きながらている。シック・ボーイは表向きはパブを継いでいるものの、裏稼業としてゆすりや売春などを行っていた。ベグビーは今だ刑務所に服役中で、レントンの裏切りに復讐の火をともし続けていた。20年を経って年は取ったものの、物分りのよい大人に成長しきれなかった彼らは未来に向かって疾走し始める。。ダニー・ボイル監督をはじめオリジナルのスタッフ・キャストが20年ぶりに再結集した「トレインスポッティング」の続編。

1996年の公開されたユアン・マクレガーの出世作でもある「トレインスポッティング」。当時の映画シーンはよく覚えているのですが、1990年代後半は「ブラス」や「フル・モンティ」などのイギリス映画は1つのブームになっていて、「トレインスポッティング」などはそのかなり先駆け的な作品だったと思います。ちょうど僕が映画をよく観るようになった直前の作品で、リアルタイムには観ていないのですが、学生時代にリバイバル上映で金沢の映画館で観た想い出があります。他のイギリス映画にはない疾走感とドラッグムービーならではの映像のキラメキみたいなのは、後のガイ・リッチー監督の作品なんかにも凄く影響を及ぼしていて、映画作品としても革新的だなと思ったものです。そんな「トレインスポッティング」の出演陣、ユアン・マクレガーやロバート・カーライルらが当時と同じ役柄で再び登場。ダニー・ボイル監督などのスタッフ陣も当時のメンバーそのままでの続編となっています。

物語も作品と同じ20年を経過した後、オジサンとなった彼ら4人のお話として展開していきます。本作を見る前に前作を見直す、、という予習を今回はしなかったので、作品が展開しながら、どういうお話だったっけと思い出しながらの鑑賞となりました。作品としての疾走感はところどころに演出としてあるものの、全体的にはくたびれたオジサンとなり、中年となって出口の見えない生き方を模索していくという感じのお話となっています。それぞれのキャラクターが前作の後という引きずり方の人生を経過しているだけあって、前作を全く見ていないと何のお話なのか(時折、前作シーンの挿入はあるものの)分からない作品になっています。歳を重ねたはずなのに、彼らそれぞれの生き方が大人として成長できず、子どもがそのまま大人になってしまったような彼らにとっての未来とは、、序盤はまったりしたリズムだったのが、後半には加速度的に失踪していくところに作品の答えがあると思います。

次回レビュー予定は、「バーニング・オーシャン」です。

コメントを残す