『破門 ふたりのヤクビョーガミ』:結構筋が通ったヤクザもの。佐々木蔵之介と関ジャニ・横山のコンビはいいが、それぞれの成長が見えないのが残念なところ。。

破門 ふたりのヤクビョーガミ

「破門 ふたりのヤクビョーガミ」を観ました。

評価:★★

弁はたつが、根がグウタラな建設コンサルタントの二宮。彼はサバキと呼ばれる建設現場での暴力団対策を主な仕事としていたが、それはかつてはその筋の人だった亡き父親の影響がある故だった。ただ、仕事を通じて知り合った二蝶会のやくざ・桑原につるまれるようになってから、何かと厄介事に巻き込まれる日々だった。そんなある日、怪しい映画会社の社長が自社の映画の売り込みとして二宮に接触してくる。興味をもった二宮だが、やがて桑原のいる二蝶会がその映画に出資することになる。しかしプロデューサーの小清水は、突然金を持って姿を消してしまったのだった。。第151回直木賞受賞作の黒川博行『破門』を「超高速!参勤交代」の佐々木蔵之介と関ジャニ∞・横山裕のW主演で映画化した作品。監督は、「毎日かあさん」の小林聖太郎。

黒川博行といえば、昨年の邦画ベスト10にも選んだ昨年公開の映画「後妻業の女」の原作者としても知られており、大阪のコテコテな味を本作でも描いていきます。ただ、「後妻業〜」と違って、本作はストレートなまでのヤクザ映画な裏社会もの。「極妻」ほどではないものの、土建やヤクザ&裏ピンク映画など、ヤクザととことん黒めグレーな世界に住んでいる人たちを描いています。正直、ヤクザ映画だったり、ヤンキー、チンピラものなどと縁遠い世界に住んでいる者から観ると、カッコいい、、というよりは、何か異世界な人たちの話を観ているように思えてきます。「後妻業の女」の入り口が結婚相談所という表玄関が用意されていたから作品に入っていけたものの、本作は最初から少し敷居があって、それをまたぐのに少々苦労するような気がします。

それを中和するようなキャラクターが、グレーな領域に生きる二宮であり、そこに若者に人気な関ジャニの横山を当てたというのは悪いキャスティングではないように思います。事実、コテコテな桑原を演じる佐々木蔵之介(彼がある意味怪演といえる)のいい潤滑油になっていて、グレーっぽいことにいろいろと手を染めながらも、彼ら2人のバディ・ムービーのようにもなっていて、こうしたヤクザものが苦手な人でも入っていけるようにはしてあります。ただ、お話のテンポがあまりよくなく、抜け目なく、どこにでも生きていける小清水の図太い生き方のみがやたら目立っているように思えます。冒頭などに挟まれるイメージ描写のような抽象的な部分もビシっと決まっていないし、ラストのケンカ&逃亡シーンもイマイチダラっとしている印象しかしないです。二宮も物語の中盤まではよいものの、ラストへ向けた成長というのが、横山くんの演技からはイマイチ伝わってこないのも残念なところです。

次回レビュー予定は、「ミス・ペレグリンと奇妙な子どもたち」です。

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