『ドント・ブリーズ』:安牌と思われた窃盗が、恐怖の始まりだった。。映画全体が上手くパッケージングされているエンタメ秀作!

ドント・ブリーズ

2017年も明けました。今年もマイペースで更新を続けたいと思います。よろしくお願いします。

新年一発目は、「ドント・ブリーズ」を観ました。

評価:★★★★

デトロイトに住む3人の若者、ロッキー、マニー、アレックスはそれぞれの家庭に問題を持ちながら、自由を得るために街を抜け出す資金を集めていた。その方法は警備会社を経営しているロッキーの父親のクライアントに目をつけ、保険保証されるギリギリの金額で、かつ現金を狙わないという堅実な盗難だった。しかし、脱出のための資金が大きく増えない中、大金を隠し持つと噂される盲目の老人宅を狙い、一発で資金を増やすことを考えた。その計画を実行に移し、強盗に入る3人。だが、その家に住む老人は、どんな音も聞き逃さない鋭敏な感覚を持っていた。襲撃のはずが、暗闇の中で逆に追い詰められていくのだった。。製作サム・ライミ&監督フェデ・アルバレスの「死霊のはらわた」(13)コンビが贈るスリラー劇。

映画の予告やポスターを観ると、シンプルなホラー映画かと思って当初は鑑賞リストに入っていなかったのですが、年末から口コミやSNSで話題が拡がり、公開規模にはそぐわないような興収1億円というヒット作となっているというので観に行ってみました。これがなかなか面白い。ホラーではなく、本当にシンプルにつくられているホラー要素が入ったスリラー劇といったところでしょうか。目が見えない盲目の爺さんが襲ってくるわけですが、正直、この爺さんが怖いという存在にはなっていない。むしろ、爺さんは最初は若者に急襲を受けて、か弱いような感じさえも受けるのです。ところが、バナナの皮を向いていくように爺さんの裏の顔が徐々に剥がれていく。その真の顔と、闇の中で差し迫ってくる爺さんの姿がなかなか圧巻なのです。

映画として面白いのは、この爺さんが巨大な敵のような存在にうまく祭り上げられることでしょう。オープニングの謎めいたシークエンスから、最初は盗人である若者3人がチンピラ風に描かれるのですが、すぐさま製造業が寂れゆくデトロイトという街の存在や不遇な家庭環境など、このチンピラたちに共感できてしまうような要素を散りばめる。そして、上記したように最初は被害者風な爺さんがどんどん悪者になり、逆に、不法侵入している若者たちに”逃げろー”とか応援してしまうように上手く話の流れを持っていっていると思います。若者たちも一人はあっさり死んでしまうものの、あとの2人と爺さん、そして爺さんの犬との4人の逃げ延び&追いかけるバトルが、本当に最後の最後までとことん続いていくところも面白い。それに何といっても、追いかける悪者爺さんがとことん悪カッコよくなっていくのもいいなと思います。座頭市のような万能さはないものの、何をしても立ち上がっていくパワフルさには脱帽します(笑)。これは「13日の金曜日」のジェイソンのように、愛されるアンチキャラクターになっていっていると思います。

アメリカでも大ヒットして続編が製作決定になっていますが、うまく続編が作れるような終わらせ方をしているのも見事。また襲われる爺さんにするのか、それとも暴れていく爺さんにしていくのか、、今から楽しみです。

次回レビュー予定は、「ダーティ・グランパ」です。

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