『ピートと秘密の友達』:エリオットの迫力ある描写はスクリーンに映えるが、物語が全体的にピンぼけし過ぎ。。

ピートと秘密の友達

「ピートと秘密の友達」を観ました。

評価:★★

日本語吹替え版にて。

6年間、人と関わることなく、深い森で暮らしてきたピート。彼の両親は、彼と一緒にドライブ中に事故でなくなってしまい、偶然に迷い込んだ森の中で育ってきたのだ。そんな彼には誰にも言えない秘密の友達エリオットがいた。同じく一人で森で育ってきたエリオットはピートを守り、また楽しく過ごしてきた。しかし、ある日、森を守る仕事をしているグレースがピートを保護したことで、エリオットの存在が人間たちに知られてしまう。。ひとりぼっちの少年と深い森に隠れ住む謎の生物との友情を映し出すディズニー実写作品。監督は「セインツ 約束の果て」のデヴィッド・ロウリー。

予告編にも、映画の台詞にも早々に出てきてしまうので問題ないと思いますが、本作でのエリオットはすばりドラゴン。過去にも、「ドラゴンハート」や「ヒックとドラゴン」など、ドラゴンを中心に回る作品がたくさんあるように、欧米人のファンタジーには必ずドラゴンという存在が出てきます。日本でドラゴンというと、中国文化の影響で、どうしても”竜(もしくは龍)”になってしまい、龍神伝説などもあいまって、神のそばにいる神秘的な生き物と崇められることが多いのに対し、欧米のこの手の作品を見ると、森の土着の守り神という神秘性はあるものの、どこか人間と寄り添い、友人・パートナーとして共に生きるという存在に描かれることが多いように思います。これも騎士団とかで、騎士のパワーを示す存在としてのドラゴンという描かれる歴史の影響が強いのかなーとも思ったりします。とにかく、西洋と東洋で、力を示す存在としてとしては共通しているものの、ドラゴンとの対峙の方法がこれだけ違うのも興味深いところです。

という話はいいとして、僕はドラゴンが出てくる映画は好きですし、結構ハズレという作品は少ないように思っています。本作のエリオットも実に巨大で、スクリーン狭しと動き回るし、終盤の逃走シーンでの迫力も満点。ドラゴン映画としての魅力は満点に感じるのですが、、、肝心の物語は少し、、というかだいぶボヤケているように思います。「ジャングル・ブック」的な幼き頃に森に取り残され、エリオットと一緒に育つところはいいものの、彼がグレースと出会った後から、映画としてエリオットをどうしたいのかがよく分からない。エリオットを脅威として、攻撃してくる人たちもいいのですが、「E.T.」とかに比べると、だいぶ未知のものに対する恐怖感が少ない。。彼らは恐怖でエリオットを亡き者にしたいのか、それとも「ジュラシック・パーク」よろしく一儲けしたいと考えるだけなのか、、エリオットに対する攻撃もすごく緩慢で、何かピリッとしない。それは逃がす側である、ピートやグレースたちのほうも同様。彼らも早くしないとエリオットが殺される、、くらいの切迫感がないのです。エリオットの迫力は凄いものの、双方、ボヤッとした緩慢なドラマが続くのが惜しいところです。

ロバート・レッドフォードが俳優引退示唆のニュースが流れる中、本作にも元気な姿を見せてくれるところは嬉しい。とはいうものの、なんでこの作品に出たんだろうというのも疑問(笑)。どうせなら彼の肉声を聞きたいのに、字幕版が都内の数館しか公開していない興業にも不満です。

次回レビュー予定は、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」です。

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