『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の冒険だニャン!』:大人気アニメの第3弾作品は、ちょっと異色な実写世界とのコラボ作!実写とアニメのそれぞれの特徴や難しさを感じる作品!

妖怪ウォッチ

「映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の冒険だニャン!」を観ました。

評価:★★☆

さくらニュータウンに突如現れた巨大な空飛ぶクジラ。そのクジラの咆哮が響き渡った時、ケータと妖怪たちにはある変化が現れる。それは引っ張ると痛い髪、手にはしわ、そして肌には毛穴まで、、、ケータたちには考えられない“実写の世界”が誕生してしまったのだ。実写とアニメという2つの世界ができてしまった謎を追い、ケータやジバニャンたちが2つの世界を股にかけた大冒険を繰り広げていく。。TVアニメやゲーム、おもちゃなどで社会現象を巻き起こしている妖怪ウォッチの劇場版第3弾。監督は、前作「映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!」に続きウシロシンジが担当。実写パート監督を「セブンデイズ FRIDAY SUNDAY」の横井健司が務めています。

5歳前後から下の世代を中心に人気を博している妖怪ウォッチの映画第4弾。もともと製作スタジオであるレベルファイブという会社は、プレステーションを中心にゲームソフトを開発していた会社なんですが、本作である「妖怪ウォッチ」を始め、「レイトン教授」や「イナズマイレブン」など、ゲームだけに留まらず、アニメやプラモデルや各種グッズなどの販売へと幅広く手がけていて、規模と事業起点は違えど、まるでディズニーのようなメディアミックスな戦略を立てている面白い企業でもあります。僕は「妖怪ウォッチ」は何も知らずに本作を観たのですが、ピクサーばりのレベルファイブのロゴや、本編以外に短編をくっつけてくるところなども、(ゲーム会社っぽいところは感じられども)一級のアニメ制作スタジオなのかと思ってしまったほど。映画も非常に面白い視点を入れていて、子ども向けの作品とはいえども少し考えさせられる作品となっていました。

本作の最大のウリになっているところは、実写とアニメと世界を2つに分け、それらを行き来する物語になっているところ。その2つの世界の切り替えのキーになっているのが、謎の巨大クジラの咆哮と、何かコアラに似たような妖怪の鼻を触ることという2つ。アニメでも、実写でも、同じような世界が広がっているという設定なのですが、面白いのはあくまで物語の主軸はアニメの天野ケータ目線になっていること。アニメ世界の彼にとっては、実写世界のお友達はアニメ世界の彼らよりもひどく何か1つの特性がデフォルメされているような奇妙な存在に思える。でも、これって、いろんな物語を映画化するときに、実際よりもかなり脚色されるのと同じことなんですよね。事実と物語の中とでは、同じことを描いても違うように、この鏡面のような2つの世界は全く同じではなく、どこか何かが違って描かれる。普通は実際のことがアニメになることが多いのに対して、この映画ではアニメ界の常識が実写の世界では非常識になってしまうことに面白さがあるのです。

ただ、惜しいのは、こうした映画の面白さがあまりに高尚すぎて、子ども向け映画の枠を超えてしまっていることでしょう。実際、僕の観ている回でも、「まだ、終わらないのー」という子どもの声も聞こえてくるほど(笑)。子どもたちにとって、実写のほうはどうでもよく、彼ら彼女らはアニメのケータやジバニャンたちを観に来たのであり、実写の普段見たことのないキャラクター(まぁ、元はアニメのキャラとしてはいるんですが、、)は、もはや知らない人状態なのです。。それに実写、アニメという切り替えをやっているところにフォーカスが当たりすぎて、実際のバトルシーンは大きなものが1つあるくらいで、物語自体はだいぶ薄っぺらいものになっているように思います。各妖怪たちの実写映像はCGを駆使して巧みなのですが、フィクションである物語を動かすスピード感はアニメのほうが断然上。これもアニメだからこそ楽しんで見られる要素であり、実写だと相当苦しいなーということを改めて感じた作品でもありました。

次回レビュー予定は、「ピートと秘密の友達」です。

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