『ピンクとグレー』:中盤にあるドンデン返しは予想できなかったが、これが映画を安っぽくさせてしまった

ピンクとグレー

「ピンクとグレー」を観ました。

評価:★☆

加藤シゲアキによる同名処女小説を映画化した作品。予告編を見ていただくと分かりますが、映画の中盤で今までの設定が覆る、いわゆるドンデン返しがある作品となっています。いろいろな伏線がある中のドンデン返しモノというのは僕は嫌いじゃないので、当初は観る予定ではなかったですが劇場鑑賞してみました。監督は、「世界の中心で、愛をさけぶ」の行定勲監督が手がけています。

最初からドンデン返しがあると分かっている作品を観て楽しいのは、どうやって騙そうとしているのかを予想しながら鑑賞すること。過去、「シックス・センス」のようにドンデン返しがあるということが分からずに鑑賞するのが僕自身は楽しいんですが、「ユージュアル・サスペクツ」や昨年の「イニシエーション・ラブ」の鑑賞のときのようにドンデン返しがあることを事前に分かっていると、どう物語を転ばそうと監督や脚本家(あるいは物語の原作者)が苦心しているか、パズルを解くように、その物語を独自に予想・分解し、最後で答え合わせをするのもワクワクします。「イニシエーション・ラブ」は開始早々にネタが分かって、その通りだったのですが、本作は本当に中盤のドンデン返しがあるまで分かりませんでした。本当に、久しぶりに騙された。

ただ、この作品、過去の同種の作品が作品のラストでネタばらしするのとは違って、作品の中盤にネタばらしがあることが仇になったいると思います。ネタ自体は予想できなかったとはいえ、ネタ明かし後の後半部はすごい長いエピローグを見せられているようになって苦痛になってくるのです。未読ですが、原作があるものなのでどうしようもなかったのかもしれませんが、ネタ自体が物語の構造を大きく変えてしまうので、綿密につくった前半部に対して後半部がすごく安っぽく見えて仕方ありません。これはもっと大胆に、前半部に後半部のネタを織り込んでいくような入れ子構造にして、ネタばらしはやはりラストに持っていき、サラッと終わるほうがよかったと思います。

俳優陣としては前半と後半で違うキャラクター像を演じた菅田将暉がよかった。その他の役者はやはり後半部にキャラ設定が変わってしまうこともあって、後半部が特に活きていないなと感じてしまいます。そういう意味では人が植え付けられるイメージ像というのは、会って数分で植え付けられるという定説を地で行った作品なのでしょうか。。

次回レビュー予定は、「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」です。

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