『グランドフィナーレ』:邦題はイマイチだが、リゾートの神髄を味わえる極上ムービー!

グランドフィナーレ

「グランドフィナーレ」を観ました。

評価:★★☆

アルプスで優雅な引退生活を送っている作曲家フレッド・バリイジャーのもとに、女王陛下からの勲章の授与と、彼の名声を轟かせた名曲「シンプル・ソング」の演奏依頼が舞い込む。名誉なことではあるが、頑として出演を断るフレッド。そんな中でも、優雅なリゾートでの日々は過ぎていく。。

「ダークナイト」シリーズや「キングスマン」などの作品で名脇役として、未だ第一線級の活躍を魅せているマイケル・ケインが堂々の主役を張る本作。監督に「グレード・ビューティー/追憶のローマ」のパオロ・ソレンティーノを迎えている本作は、今までないジャンルである、高級リゾートでのバカンス生活を描いた内容になっています。主役のフレッドは80歳という設定(ケイン本人は2016年時点で83歳)という設定なので、最初は引退した一人の老人の生活と描いた作品なのかと思っていましたが、どうもそうではないような形になっているのが、作品の面白さとなっている部分です。

欧米のホワイトカラー層では、1ヵ月や2ヵ月の長期に渡る休暇(バカンス)を取ることがもう当たり前のように行われているみたいですが、GWや正月休みなどの隙間を狙って、せいぜい1週間レベルの休暇しか取れない日本とは雲泥の差を実感してしまう映画になっているのです。それは主人公フレッド以外にも、役づくりに悩む役者、世間から注目された元プロサッカー選手、次の作品に精気を貯める映画監督など、休暇という助走期間を経ながら、次へのステップを模索していく様、そして人生を模索していく様が描かれていくのです。その中で交わされる会話は、人生の方向性を左右するような重要な事柄ばかり。休暇で旅行となると、分単位・時間単位で観光をして、混雑の中をかき分けて休んだのか休んでいないのか分からない、日本の休暇とは大きく違う。どちらがいいとは一概には言えないですが、これからの多様的な生き方を考えるうえで、こうした仕事(ワーク)と人生(ライフ)をゆっくりと考えるというのも極上の過ごし方のように思うのです。

どうでもいいことですが、この作品に登場する元サッカー選手って、マラドーナを意識していますよね。調べたところ本人ではないみたいですが、あそこまで上手いリフティングを披露されると、すごく錯覚してしまう作品になっています。セコセコと忙しい毎日を送っている方は、せめて、この映画を観て、ゆっくりと人生を振り返るのもありなのではないかと思います。邦題はイマイチですが。。

次回レビュー予定は、「殿、利息でござる」です。

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