『AUTOMATA オートマタ』:バンデラスも、ロボットも、渋さ抜群の作品だが、もう少しテンポをよくして欲しい、、

オートマタ

「AUTOMATA オートマタ」を観ました。

評価:★★

人類が存亡の危機を迎え、新たな労働力として開発されたA.I.搭載型ロボット”オートマタ”が存在する2044年を描いた近未来アクション。主演は、最近はスクリーンから遠ざかっている感がある、「レジェント・オブ・ゾロ」のアントニオ・バンデラス。監督は新鋭となるスペイン人監督、ガイ・イパニェス。

産業界ではA.I.なり、ロボットなりが次世代の技術としてようやく勃興しようとしていますが、SF映画の世界では古くから用いられている素材。そのせいか、本作を見ていてもどこかで観たような設定だと、ずーっと感じていたのですが、ロボットの造形は違えど、意識しているのは、リドリー・スコット監督の「ブレードランナー」だろうなということは素人目にも明らかな作品になっています。人間に危害を加えず、自らも改造することないというルールの下で作られたはずのロボットが、次第に自らの意思で動いていくようになっていくというのは、形を変え、品を変え、使い古されたような設定で新鮮さがない。唯一いいなと思うのは、バンデラスが醸し出すダークサイドな雰囲気と、スペイン人監督、そして東欧の国が製作国ということで、どこかしらエスニックな空気が流れるのが新鮮、、、ってことくらいでしょうか。

テンポがスローに進むのが少々残念ですが、使い古された手とはいえども飽きることはない。むしろ、こうした作品は僕は結構好きです。それにCG全盛なこの時代に、機械的な動きがわかるロボットであることが何となく嬉しいのです。ここにはウィル・スミスが主演した「アイ、ロボット」のような機敏に動くロボットも、「チャッピー」のような人間に近い知性をもったロボットもなく、”オートマタ”(もともとの言葉の意味は18世紀〜19世紀くらいに使われた自動人形のことを指す)という言葉のように、まさに機械チックな動作を起点にしたロボットたちであることが、いい意味の古さを感じさせる作品となっています。それに老練としたバンデラスが演じるので渋さが抜群。すっかりオジサマの域に達している彼ですが、今後はマイケル・ダグラスばりのダンディさを発揮して欲しいものです。

次回レビュー予定は、「アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー」です。

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