『クーパー家の晩餐会』:単純なクリスマス劇にならない、複雑なファミリー・ドラマ。。

クーパー家の晩餐会

「クーパー家の晩餐会」を観ました。

評価:★★

「I am Sam アイ・アム・サム」のジェシー・ネルソン監督がダイアン・キートン、ジョン・グッドマンなどの名優を迎えたファミリー・ドラマ。予告編を観た限りは定番な形なホームドラマかと思いましたが、舞台となるのがクリスマスの日というのに公開時期がこの時期だし、公開規模も何だか小さいし、、といろんな意味で気になる作品でした。中身を見ると、この公開規模も納得、、一癖も二癖もある、アクの強めな作品になっていました。

年に一度、クリスマスに家族が集うクーパー家。楽しいクリスマスの雰囲気とは裏腹に、晩餐会に集まるクーパー家の一同には表とは別に裏には陰鬱な顔を持っていた。父と母は、このクリスマスを最後に離婚を決意しているし、娘は不倫の恋をしながら、その恋を両親には隠そうと画策するし、息子は失業したことを言い出せずにいる。叔母は孤独を隠すためにスーパーで万引きを繰り返し、祖父は孤独を紛らわせてくれるウェイトレスのことが気がかり。それぞれがそれぞれの事情で素直にクリスマスの集いに参加できずにいる。しかし、クリスマスは迫ってくる。さて、一人一人はどうするか。。

僕自身は大家族でもないし、親戚付き合いもあまりない家庭で育ったので、家族や親戚で揃う行事(正月とか、法事とか)に大勢が顔を合わせる場所に居合わせた経験があまりありません。見た目は何だか楽しそうだけど、学業や仕事のこと、恋愛や結婚のこととなど根掘り葉掘り聞かれるかと思うと、想像するだけにちょっとゾッともする。でも、それが避けられないものならば、何が何でも無難にこなそうと皆がアタフタとする。本作は、そうした家族のイザコザものの定番というクリスマスイベントを描いた王道モノの作品になっています。

出ている俳優もいいし、素直に描けばそれなりに面白くなると思うんですが、本作はそれぞれのキャラクターを描くエピソードがすごく断絶的で、おまけにそれぞれのエピソードで過去のフラッシュバックも挟むものだから、作品としてすごくいびつでテンポの悪い作品になっていると思います。「ラブ・アクチュアリー」のようなスマートな群像劇にもなっていないし、同じダイアン・キートン主演のクリスマスファミリードラマの「幸せのポートレート」のような単純なハートウォーミングさにも欠ける。ラストはとりあえずハッピーエンドだけど、そこに行きつくまでがひどく回り道をしていると思います。何があっても、家族はやっぱり素敵、それを醸し出してくれるクリスマスも素敵というメッセージ性はいいですが、もうちょっと描き方を整理して欲しいと思った作品でした。

次回レビュー予定は、「愛しき人生のつくりかた」です。

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