『嘘八百』:復讐に燃える男たちの一大骨董詐欺。中盤までの展開はなかなかだが、ラストがちょっと意味不明。。

嘘八百

「嘘八百」を観ました。

評価:★★★☆

しがない古物商・小池則夫は堺の町を巡回しながら、古い蔵がある一軒家を見つけながら飛び込みでの鑑定を行っていた。とある日、娘を乗せながら、ある蔵を物色中にお宝である千利休の幻の茶碗を発見する。意気揚々としながらも、どこかに胡散臭さも感じた小池だったが、その予感は的中し、陶芸家・野田佐輔が巧妙にしくんだ罠だったことが発覚する。しかし、小池の目を欺くほどの名器を模せる腕を持っていた野田とその仲間たちは、小池と結託して“幻の利休の茶器”を仕立て上げ、2人の人生をくじいた大物鑑定家に復讐し、そのついでに一獲千金を目論む。ところが、やがてそれが大騒動に発展していってしまうのだが。。「百円の恋」の監督・武正晴と脚本家・足立紳が再びタッグを組んだコメディ。

骨董ほど分からない世界はない。確かに美術館に行き、名画や名書、工芸品で一級品と呼ばれるものは凄いとは思うのだけど、どこがどうというのは感覚しか分からないし、それが本物であろうが、贋作であろうが、いいものはいいというくらいしかやはり分からない。それでも、蚤の市とかの片隅に置かれているものが、見る人が見ると数億という値段がついてしまうこともあるというから世の中は恐ろしい。骨董はロマンとも言われますが、野田たちが言葉通り”幻の茶器”を作ろうと、いろんな情報を集めていくように、骨董そのものより、周りの伝説が人を惹きつけるのかなと思ったりもします。

そういった未知の領域を舞台にしている本作ですが、結構面白く見ることができました。目玉は中盤に置かれている、小池と野田がタッグを組んでの一大骨董詐欺。詐欺の手口は違いますが、名作「スティング」のような軽妙さとハラハラドキドキ感を兼ね備えているのが実に楽しい。主役の小池、野田を演じる中井貴一と佐々木蔵之介のコンビネーションもいいのですが、それよりも周りを取り囲む如何にも大阪の下町にいそうな胡散臭い脇役たちが実に光っていると思います。野田の妻を演じる友近や、大物鑑定家を演じる近藤正臣などが重要な演じ手を巧妙にこなしています。この”THE 大阪ムービー”の空気感を生み出せるのが、武監督&足立コンビが出せる技といえるところです。

ただ、意味不明になっていくラストのドタバタが自分的にはよく理解できませんでした。。単純なハッピーエンドにしたくないというのも分かりますが、もう少しやりようはあったように思うのですが。。

次回レビュー予定は、「アニー・ホール」です。

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